片恋
笑ってごまかそうとした、私の心の奥の部分が透けてしまったのだろうか。

延藤くんは、そんな私を罰するように、ぎゅっと手を強く握った。


「っ!? え、延藤く──」

「俺さ、真桜ちゃんのこと好きだよ」

「えっ……、え?」

「最初に近づいた理由が理由だから、真桜ちゃんは俺のこと嫌いだと思うけど」

「……」


否定することは出来なくて、黙り込む。

握られた手が、痛くて熱い。

熱が、伝わる。
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