片恋
だって私も、伊月くんを守りたかったの。

ナデシコの秘密は、ふたりだけのものでありたかったから。


怒っていたはずの伊月くんの表情は、悲しそうなものに変わる。


私の手をつかむ手は離され、代わりに私の頭にそっと乗せられた。


「ごめん、ずっと気づかなくて」


私の、バカ。

伊月くんに、こんな顔をさせるなんて。


「……ううん、私が勝手に、守れた気でいただけ」
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