片恋
明るい笑顔に、こちらまでつられる。

延藤くんは、人懐っこい笑顔で、とても人当たりが良さそう。

伊月くんみたいな、キリッとしたタイプのイケメンとはまた違って、優しそうなイケメン……。


「コウ~、またお前と同じクラスかよ」

「またまたー、嬉しいくせに」

「うるせ」

延藤くんを「コウ」と呼ぶ男子が、延藤くんに絡む。

彼も、多分同じクラス。


“コウ”?
自分で、“すばる”って名乗らなかったっけ。

そんな私のハテナマークを見抜いたのか、延藤くんが「ああ」と、声を漏らした。


「俺ね、昴っていう字、コウって読めるから、そっちで呼ばれてんの。真桜ちゃんも、コウくんって呼んでね」

ま、真桜ちゃん?

「は、はあ……」


どう反応していいか分からず、口をついて出た言葉が、これだけ。

いきなり下の名前で呼ばれて、びっくりした。
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