片恋
「あははっ、真桜ちゃん愛されてんだね」

「あ、愛!? 愛とかそういうのでは、えーと、あの」


笑いながらとんでもないことを言う延藤くんに、私は焦るだけで精一杯。


当の伊月くんは、「は? 真桜ちゃん?」と、延藤くんが私を呼ぶ名前にどこか引っかかっている様子。


「俺、延藤昴。よろしく、伊月蓮くん」

「なんで……」

「あ、名前? 伊月、有名人だから知ってた」

「有名人? なんの?」

「いやいや、その顔で自覚ないとか、ありえないでしょ」

「は?」


伊月くんと延藤くんの会話に、なぜか私がハラハラする。

延藤くんはずっと笑顔だけど、伊月くんの方はどこか警戒しているように感じる。
< 51 / 412 >

この作品をシェア

pagetop