片恋
教室には、もう誰も残っていない。

放送部員のおすすめの曲が、教室のスピーカーから流れてきて、それが唯一の音として響いている。

今日は、最近公開された映画の主題歌。


私の席は、窓際から二番目。

その隣の伊月くんの席に、見覚えのあるものが乗っていた。


イヤホンが繋がった、音楽プレーヤー。

「これ……伊月くんの?」

隣の席から、いつも見ていた横顔をを思い出す。

「忘れて帰っちゃったのかな……」
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