片恋
成美ちゃんのその言葉で、今日一日中抱えていたモヤモヤが、スッと晴れていくのを感じた。

伊月くん本人に聞いたわけでもないのに、第三者である延藤くんの言葉だけを真に受けて、勝手に悩んで。

結果、授業の休み時間のたびに誘ってくれる伊月くんに対しても、少し引いた態度を取ってしまって、失礼なことをした。


そんなこと、伊月くんは気にもしなかったかもしれないけど、明日会ったら謝りたいな。

「なんのこと?」って、驚かれそうだけど。


「成美ちゃん、ありがとう」

「もー、本当だよ。二度と、こんなことで悩まないでほしい」

「あはは……」

「あたしだって、彼氏欲しいんですけど?」

「私だって、伊月くんは彼氏じゃないよ……」

「どの口が言ってんだ。あんなの、告るか告ってないかだけの違いでしょうが」
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