片恋
「安心していいよ。俺も、誰にも言ってないから」


延藤くんのいつも通りの笑顔に、ホッと胸を撫で下ろして、自然と安堵のため息がこぼれたけど、

「今は、まだ」

続くその言葉に、再び息を()んだ。


いつも通りの、人の良さそうな笑顔。

それが、怖い。


『今は』って、それはつまり……。


「延藤くんは、伊月くんが嫌いなの?」

「ん? そう見える? まあ、別に好きではないかな」
< 96 / 412 >

この作品をシェア

pagetop