エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
すると、私の視界の真ん中で、その指がピタッと止まった。


「……え?」


訝しそうに聞き返されて、純平さんをそっと見上げる。


「純平さん、私にエッチなことする時、名前で呼ぶだけじゃなくて、すごく楽しそうだから……」


だから、ほんの少しくらい、私のこと好きでいてくれてるんじゃないかな。
そんな密かな期待から、口を突いて出た言葉だったけれど。
純平さんは無言で、たっぷり一拍分、固まったように動かなかった。


「? 純平さん……?」


怪訝になって呼びかけると、「ふん」と鼻を鳴らされた。


「セックスは面倒だが、気持ちがいいからやる。俺にとって、それだけの行為だ」

「っ……」


つまり、やっぱり純平さんは、快楽のためだけに私を抱いている。
そういうこと……。
しゅんとして目を逸らし、無意識に唇を噛んだ。


「……だが」


わずかな間の後、彼が逆接で続けたから、そっと目線を戻す。


「お前に何度もその気になれるのは、楽しめる要素があるからだろうな」

「え……」


わりと素直に肯定してくれたから、ドキッと胸が弾んだ。


「少なくとも、お前の胸は好みだ。見た目からは想像できない意外なボリュームがあって、触り心地もいいし……」

「それも、酔っぱらった時、言ってました。『けしからん乳』って」

「……言ったのか。俺」
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