エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
泣かされる
目を覚まして一番に視界に映ったのは、純平さんの寝室のお洒落なファンライトだった。
昨夜、いつ寝室に移動したっけ……覚えていない。


裸の肌に、サラッとしたシーツの感触が心地いい。
今、広いキングサイズのベッドには私ひとりだけど、シーツの左側に、ほんのりと温もりが残っている。
どのくらいか前までは、純平さんがそこに眠っていた証拠だ。


消えてしまわないように追い求めたくなるけど、いくら休日だからって、いつまでも惰眠を貪っているわけにはいかない。
明日から、また仕事が始まるし……。


私はシーツの温もりを名残惜しく思いながら、モゾッと上体を起こした。
ベッドの上で三角座りをして、膝に頬を預ける。
サイドテーブルの時計は、午前十時を示していた。


純平さんは、仕事に行ってしまったかな。
置き去りにされた寂しさが、ほんのちょっと胸をよぎる。


「純平さん……」


掠れた声で名前を呟くだけで、胸もお腹の奥の方も、きゅんと疼いた。
昨夜――純平さんが好きだと自覚してから初めて、彼に抱かれた。
好きな人から情熱的に求めてもらえるって、なににも代えがたい幸せだと、知ることができた。
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