エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
切なくなって、私はきゅっと唇を噛んだ。
膝を抱える腕に力を込めて、顔を伏せる。
保護してもらっている現状で、多くを望んで我儘になってはいけない。
でも、あの男の人の件が片付いて、偽装結婚生活を解消する時が来たら、『これからは偽装じゃない、本物の恋人にしてもらえませんか』ってお願いできないかな。
彼に、私自身を『好き』って言ってもらいたい――。
恋って、幸せなのと同時にすごく苦しいものなのだと、初めて知った。
胸がきゅっと締めつけられ、もう一度深い溜め息をついた時。
「おい。部屋にいるのか?」
トントンと階段を上る足音に紛れて純平さんの声がして、私はギョッとしてベッドから飛び降りた。
「っ、え?」
仕事に行ったものとばかり思っていたけど、まだ家の中にいただなんて。
「おい……」
「し、寝室です! すぐ行きます」
声はすぐドアの向こうから聞こえてきて、服を身に着ける余裕もない。
とりあえず顔だけ出して朝の挨拶をしようと、その場しのぎに肌掛け布団を胸に抱きしめ、ドアに駆け寄る。
膝を抱える腕に力を込めて、顔を伏せる。
保護してもらっている現状で、多くを望んで我儘になってはいけない。
でも、あの男の人の件が片付いて、偽装結婚生活を解消する時が来たら、『これからは偽装じゃない、本物の恋人にしてもらえませんか』ってお願いできないかな。
彼に、私自身を『好き』って言ってもらいたい――。
恋って、幸せなのと同時にすごく苦しいものなのだと、初めて知った。
胸がきゅっと締めつけられ、もう一度深い溜め息をついた時。
「おい。部屋にいるのか?」
トントンと階段を上る足音に紛れて純平さんの声がして、私はギョッとしてベッドから飛び降りた。
「っ、え?」
仕事に行ったものとばかり思っていたけど、まだ家の中にいただなんて。
「おい……」
「し、寝室です! すぐ行きます」
声はすぐドアの向こうから聞こえてきて、服を身に着ける余裕もない。
とりあえず顔だけ出して朝の挨拶をしようと、その場しのぎに肌掛け布団を胸に抱きしめ、ドアに駆け寄る。