エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「おはようございます、純平さ……」


勢いよくドアを開けると、完璧なスリーピースでビシッと決めた純平さんが、廊下に立っていた。


「なっ……」


彼は私と向かい合って、大きく目を瞠って絶句した。
だけど私は。


「ええ~と。こほん」


彼の隣でわざとらしく咳払いをする、見知らぬ男の人に釘付けになる。


「初めまして、瀬名さんの愛玩子猫ちゃん」


純平さんと同じくらい立派なスーツ姿のその人が、小首を傾げて声をかけてきた。


「子猫……?」

「いやはや。なかなか魅惑的なお出迎えですね」

「バカ、見るな」


なにが起きているのか理解できない私を、男の人から隠すみたいに、純平さんが目の前に立ち塞がる。
そして、私を肩越しに見下ろし……。


「おい。早く中に戻って、服着ろ」

「え……」


恐ろしく低い声で言われて、私はハッと我に返った。
純平さんだけじゃなく、知らない男の人もいる前で、私は……。


「きゃ、きゃああああ!!」


素っ裸で薄い肌掛け布団を胸に当てただけの、しどけない姿を晒してしまったことに気付き、マンションが揺れるほど絶叫した。
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