エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
それから十分後――。
「では、改めまして。私、警視庁捜査一課、瀬名班の警視、朝峰と申します」
あたふたと三人分のコーヒーを淹れて、リビングのソファに座った私に、男性が向かい側から名刺を差し出し、自己紹介してくれた。
「ご、ご丁寧にありがとうございます。菅野歩です」
私は緊張でガチガチになって、肩を強張らせて名刺を受け取った。
純平さんは朝峰さんの隣で、苦虫を噛み潰したような顔をして、足を組んで踏ん反り返っている。
純平さんの部下を、あんなはしたない格好で出迎えてしまい、彼にも恥を掻かせてしまった――。
ものすごく怒っているのが、手に取るようにわかる。
「えっと……申し訳ありませんでした。とんだお目汚しを……」
真っ赤な顔で変な汗を掻きながら、声を消え入らせると、「いえいえ」と、軽い調子で返された。
「瀬名さんが突然、警視庁でゴムボールなんぞ握り出したのか、よ~くわかりました」
「ゴムボール?」
「握力強化なんて言ってますが、その手つきがなんとも卑猥で……」
にっこりと笑った彼が、なにを言わんとしたかわからず、私は首を傾げた。
すかさず、純平さんが、彼に鉄拳をお見舞いする。
「いてっ」
「余計なことを言うな。いいから、さっさと用件を済ませろ」
拳を握ったまま腕組みをして、凍りつきそうな冷たい瞳で睨みつけた。
だけど、朝峰さんは肩を揺らして、笑いを噛み殺している。
「では、改めまして。私、警視庁捜査一課、瀬名班の警視、朝峰と申します」
あたふたと三人分のコーヒーを淹れて、リビングのソファに座った私に、男性が向かい側から名刺を差し出し、自己紹介してくれた。
「ご、ご丁寧にありがとうございます。菅野歩です」
私は緊張でガチガチになって、肩を強張らせて名刺を受け取った。
純平さんは朝峰さんの隣で、苦虫を噛み潰したような顔をして、足を組んで踏ん反り返っている。
純平さんの部下を、あんなはしたない格好で出迎えてしまい、彼にも恥を掻かせてしまった――。
ものすごく怒っているのが、手に取るようにわかる。
「えっと……申し訳ありませんでした。とんだお目汚しを……」
真っ赤な顔で変な汗を掻きながら、声を消え入らせると、「いえいえ」と、軽い調子で返された。
「瀬名さんが突然、警視庁でゴムボールなんぞ握り出したのか、よ~くわかりました」
「ゴムボール?」
「握力強化なんて言ってますが、その手つきがなんとも卑猥で……」
にっこりと笑った彼が、なにを言わんとしたかわからず、私は首を傾げた。
すかさず、純平さんが、彼に鉄拳をお見舞いする。
「いてっ」
「余計なことを言うな。いいから、さっさと用件を済ませろ」
拳を握ったまま腕組みをして、凍りつきそうな冷たい瞳で睨みつけた。
だけど、朝峰さんは肩を揺らして、笑いを噛み殺している。