エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
年齢も近いようだし、それで警視という階級なら、この人もキャリア組と呼ばれるエリートなのかもしれない。


「話を戻します。菅野さんが、うちの新海から任意同行をかけられることになった原因……大島照子が逮捕起訴されたことは、ご存じですか?」


真っ向からズバリ聞かれて、私は一度首を縦に振って応えた。


「それでは……あなたを尾けていた男の身元が割れたことは?」

「っ、えっ……?」


初めて聞く事実に目を瞬かせ、無意識に純平さんを見つめる。


「まだ身元が判明しただけだ。組織との繋がりについて、確証には至っていない。もちろん報道もされていない」


私が訊ねなくても、彼は先回りして説明してくれた。


「人物照合は、私が命じられて進めていました。マエがないので時間がかかり、特定に至ったのはつい昨日です」


朝峰さんが、続けて補足する。


「あ。それじゃあ、昨日、瀬名さんと何度も電話してたのって」

「ああ、ええ。せっかくの〝お散歩〟を邪魔してしまい、すみませ……」

「同じことを何度も言わせるな、朝峰」


純平さんが彼を遮り、凛と声を張った。
やけにゆっくりと、長い足を組み換え……。


「余計なことは言うな。次は、それ相応の制裁をする」

「っ」


冷酷な警察官僚の顔を見せる純平さんに、思わずゾクリとした。
昨日、私をナンパした男性に本気で凄んだ彼も怖かったけど、部下に対しても容赦ない。
< 156 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop