エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】

「男と組織の繋がりを証明できれば、身柄を拘束して聴取することも可能です。つまり、菅野さんの身の安全に直結する。ご協力、願えますか？」


丁寧に、私の意志を確認してくる。
私は、一度ゴクッと唾を飲んだ。
肩を動かして息をして、なんとか自分を落ち着かせる。


「……はい。大丈夫です」


気を取り直し、竦みそうになる自分を叱咤して、彼に視線を返した。


「助かります。ご協力、感謝します」


朝峰さんはスッと立ち上がると、タブレット端末を手に、私の隣に移動してきた。


「では、こちらをよく見てください」


目の前に差し出されたタブレットに、身を乗り出して目を凝らす。
純平さんは唇を結んで、私たちをジッと見つめていたけれど。


「……ちょっと、失礼」


スマホに着信があって、ポケットから取り出した。
サッとソファから立ち上がり、短く断って、リビングから出ていってしまった。
私は彼の広い背中を目で追って……。


「菅野さん？」

「あ。すみません」


朝峰さんに呼ばれて、タブレットに視線を戻す。


「男の人が捕まれば、私はもう安全なんですよね。普通の生活を取り戻せる……」


それで、純平さんとの偽装結婚を終わらせて、本当の恋人に――。


「頑張ります」


タブレットの画像に集中しようと、胸を動かして深呼吸をした。