エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「この一カ月行けなかったから。見たことないのとか新商品もいっぱいで、気付いたらこの有様に。朝峰さんも半分苦笑い気味で……」

「この爆買いは、GWに実家に帰りたいと言うのを、俺が我慢させた反動か」


抑揚なく挟まれた声が、なにか刺々しい。
私はギクッとしながら、スマホをテーブルに置いた。


「え、っと……。ごめんなさい。そういうつもりじゃ」


純平さんは、薄く細めた目で、じっとりと私を見ている。


「だが、朝峰なら、俺よりは時間に融通が利くはずだ」


ハッと浅い息を吐き、その場に立ち上がった。


「は……?」


目で追って喉を仰け反らせた私を、スラックスのポケットに片手を突っ込み、見下ろしてくる。


「アイツは、俺と違って現場に出る刑事だ。出かけたい時は、連絡したらいい。名刺もらっただろ?」

「そんな。朝峰さんだって、お仕事忙しいんですし」


私は、当惑して腰を上げた。


「作倉を逮捕するまでは、お前の護衛も業務と認める。朝峰には、そう言っておく」

「っ……純平さんっ」


私の言葉には耳を貸さず、自分の言いたいことだけ捲し立てる彼に、意図せず声が大きくなった。
純平さんも、一度口を噤んだけれど。


「いいじゃないか。お前も楽しめたんだろう?」


冷然とした表情はほんの少しも動かず、黒い瞳には不機嫌が滲み出ている。
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