エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「もっと嬉しそうに、尻尾振って報告しにくるもんだと思ってたのに」
私は昔から、小動物に喩えられることが多い。
彼女も軽い気持ちで言ったとわかっているけど、今はそれすら心にザラッとする。
「尻尾って。……私、そんなキャラ?」
普段なら気にすることもないのに、私の声は少しつっけんどんになった。
「……ごめん。怒っちゃった?」
私の反応は予想外だったのか、桃子がやや当惑顔で謝ってきた。
個人的な胸のモヤモヤを、関係のない彼女にぶつけてはいけない。
「ううん。こっちこそ、ごめん」
私も謝罪を返して、話題を変えようとした。
だけど。
「……ねえ、桃子」
客観的な意見を求めたくなって、背筋を伸ばして呼びかけた。
「ただのペット扱いでも、脈あるかなあ」
「え?」
桃子はバウムクーヘンの袋を開けながら、私に目線を返してくる。
ちょうど、パーティションの向こうを、誰かが通り過ぎた。
人の耳に入るのを気にして、私は背を屈める。
「純平さんの部下の人に会った時、『子猫ちゃん』って呼ばれて。純平さんも、私のことをペットって思ってたって」
昨夜のことを思い出し、複雑な気分で唇を尖らせると、桃子は困ったように眉をハの字に下げた。
私は昔から、小動物に喩えられることが多い。
彼女も軽い気持ちで言ったとわかっているけど、今はそれすら心にザラッとする。
「尻尾って。……私、そんなキャラ?」
普段なら気にすることもないのに、私の声は少しつっけんどんになった。
「……ごめん。怒っちゃった?」
私の反応は予想外だったのか、桃子がやや当惑顔で謝ってきた。
個人的な胸のモヤモヤを、関係のない彼女にぶつけてはいけない。
「ううん。こっちこそ、ごめん」
私も謝罪を返して、話題を変えようとした。
だけど。
「……ねえ、桃子」
客観的な意見を求めたくなって、背筋を伸ばして呼びかけた。
「ただのペット扱いでも、脈あるかなあ」
「え?」
桃子はバウムクーヘンの袋を開けながら、私に目線を返してくる。
ちょうど、パーティションの向こうを、誰かが通り過ぎた。
人の耳に入るのを気にして、私は背を屈める。
「純平さんの部下の人に会った時、『子猫ちゃん』って呼ばれて。純平さんも、私のことをペットって思ってたって」
昨夜のことを思い出し、複雑な気分で唇を尖らせると、桃子は困ったように眉をハの字に下げた。