エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「歩、そういう印象だもんねえ……」

「それは自覚してるけど……女としては、見てもらえてないってことよね」


私は、両手で頬杖をついた。
その上、朝峰さんの家に行って、『可愛がってもらえ』的な言い方をされた。
本当にそうなったとしても、まったく意に介さないのかと思うと、またしてもへこむ。


「私、見込みないのかなあ……」


落ち込んで目を伏せ、「はあ」と息を吐いた。


「うーん……」


桃子が、思案顔で軽く唸った。
袋から出したバウムクーヘンを、小さく千切って口に放り込み、


「そうやって、彼女を猫可愛いがりしたいタイプの人なら、むしろピンポイントだと思うけど。瀬名さんって、そういう感じでもないというか……」


言い回しを考えてくれたけど、それは私の方がよくわかっている。
事あるごとに彼の言動に表れる、真正のドSの〝性癖〟——。


「そう、よね……」


主観的にも客観的にも、私の恋に見込みはないと、結論が出てしまった気分……。


「でも歩は、瀬名さんの懐のだいぶ深いところまで、入り込めてる。それは、確実に言える」


がっくりとうなだれる私を励まそうとしてくれたのか、桃子が声に力を込める。
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