エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
俺の班の刑事たちが、「本当ですか」と、朝峰に詰め寄る。


「はい」


朝峰は、すべての者に順繰りに目を向け、ニヤリと狡猾な笑みを零した。


「別件でマークしていた男が、先日の大島逮捕時、見張りについていたことが、科学的に証明されました。これは、過去の証拠物件をもとに、科捜研で分析したデータです」


最後に俺の上で視線を留め、手に持っていた書類のファイルを顔の横に掲げる。
俺はゆっくり立ち上がり、彼の前に進んだ。


「瀬名さん。確認をお願いします」


胸元に突き出されたファイルを受け取り、ザッと中を検める。
そして、ピクリと眉尻を上げた。


「……令状請求の手続きを行う。直ちに、取り掛かれ」


俺は彼をジッと見据えながら、横にいた新海にファイルを突きつけた。
新海は「はっ!」と敬礼して、ファイルを手に、一目散に駆けていく。
他の刑事たちも後を追って、我先にと会議室から飛び出していった。


捜査一課長の、「解散」の号令がかかった。
正面から対峙する俺たちの横を、何人かの刑事がバタバタと通り過ぎる中——。


「この短期間で、よくやった」


俺がそう声をかけると、朝峰はふっと目を細めた。


「ありがとうございます。菅野さんの協力のおかげです」
< 181 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop