エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
***


午前四時四十分。
朝峰と新海が主導となって、作倉義一の身柄を拘束したとの報を受けた。
作倉が警視庁に連行されてきたのは、夜が明け、午前六時を少し回った頃。
休む間もなく、即取調べを開始した。


取調室の隣室。
俺は他の刑事たちと一緒に、マジックミラー越しに様子を観察した。
机を挟み、作倉と向かい合っているのは朝峰だ。


連行前の逮捕時に、被疑者の権利や罪状の説明は済んでいる。
作倉は連行の際、『たまたまその場に俺がいたってだけで、逮捕かよ!?』と、早朝の住宅街で大暴れだったそうだ。
今も、ふて腐れた顔をしている。


「だーかーらー。俺は麻薬密売組織なんかと、なにも関係してないんだって。ミッドナイトってなんだよ。知らねえっつーの」


落ち着きなく貧乏ゆすりをして、朝峰と目が合うのを避け、忙しなく視線を走らせている。


「弁護士呼べよ。呼んでから話を聞けよ。おいっ」

「もちろん、呼びますよ。ですが、彼らは警察の取調べに立ち会うことはできません。それと、あなたは逮捕拘留されている身であり、取調べに対し拒否権はありません」

「…………」


朝峰が淡々と説明するのを聞きながら、俺はマジックミラーに肩を預け、腕組みをした。
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