エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
動画の画質はそれほどよくない。
彼には、場所まではわからなかったのだろう。
一瞬、確かに、ギクッとしたように呟く。
その機を逃さず、朝峰は机に両肘をのせ、グッと前に身を乗り出した。


「女性を尾け回し、恐怖に陥れたストーカー男を、撮影したんです」


こちらには背を向けている彼の目が、蛇みたいに鋭くなったのは、作倉が怯んだ様子からもよくわかる。


「その女性というのが、実は、東京駅で大島に声をかけ、商売道具を押しつけられていましてね」

「……へー。だから?」


作倉は足を解き、再び落ち着きなく貧乏ゆすりを始める。


「作倉さんのことも、まさにその現場で、見かけている」

「…………」

「その女性が、あなたにストーカー行為を受けた。これは、どういう偶然でしょう?」


ねっとりと畳みかけられ、彼の目が泳いだ。
ドラマや映画の知識で、マジックミラーの存在はわかっているのだろう。
俺を捜してか、その目がこちらに向けられる。
すぐ後ろにいた新海が、ゴクッと喉を鳴らす音が聞こえた。


「ちなみに……指揮官が直々に、この動画の男を作倉さんだと証言しています」

「っ……そんなわけがない! だって、あの時その女のところに来た男は、終始俺には背を向けて……」

< 198 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop