エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「交番に届けられた、遺失物だ」
「捨て猫?」
「さあ。……まあ、いろいろ事情があって、うちで預かっている」
「! そうなんですね。なんか、意外……」
前に桃子と、純平さんは、癒しを求めてペットを飼うようなタイプじゃないと話したことがあった。
そうじゃなくても、仕事も忙しいし、世話をするのも大変だと思うのに。
「毛並みもいいし、目やにもないし。純平さんに、ちゃんとお世話してもらってるんだ。よかったね~、子猫ちゃん」
大事にされている子猫が羨ましくなり、以前私も朝峰さんに、『瀬名さんの愛玩子猫ちゃん』と呼ばれたことを思い出す。
「ええと……名前はなんていうんですか?」
なんだかちょっと複雑な気分になって、彼に子猫の名前を訊ねた。
純平さんは、私の目の前に、無言でドスンと腰を下ろした。
そして。
「飼い猫かもしれないだろう。名前はつけていない」
「ええっ。でもっ……」
私は、胸元の子猫と彼に、交互の視線を向けた。
「まさか……純平さん、この子猫のことも、『おい』とか『お前』とか呼んでるんですか?」
「え?」
純平さんが虚を衝かれた様子で、目を丸くする。
「捨て猫?」
「さあ。……まあ、いろいろ事情があって、うちで預かっている」
「! そうなんですね。なんか、意外……」
前に桃子と、純平さんは、癒しを求めてペットを飼うようなタイプじゃないと話したことがあった。
そうじゃなくても、仕事も忙しいし、世話をするのも大変だと思うのに。
「毛並みもいいし、目やにもないし。純平さんに、ちゃんとお世話してもらってるんだ。よかったね~、子猫ちゃん」
大事にされている子猫が羨ましくなり、以前私も朝峰さんに、『瀬名さんの愛玩子猫ちゃん』と呼ばれたことを思い出す。
「ええと……名前はなんていうんですか?」
なんだかちょっと複雑な気分になって、彼に子猫の名前を訊ねた。
純平さんは、私の目の前に、無言でドスンと腰を下ろした。
そして。
「飼い猫かもしれないだろう。名前はつけていない」
「ええっ。でもっ……」
私は、胸元の子猫と彼に、交互の視線を向けた。
「まさか……純平さん、この子猫のことも、『おい』とか『お前』とか呼んでるんですか?」
「え?」
純平さんが虚を衝かれた様子で、目を丸くする。