エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
私と純平さんの〝家族〟第一号なのに……。


「……ツンデレ二号」


私は苦笑を漏らし、そっと胸に手を当てた。
気を取り直して、ニュースに見入る。


私に関係した五人の構成員は皆、司法の手で裁かれている。
とはいえ、純平さんは組織の摘発に向けて、今もなお、捜査の指揮を執っている。
彼自身が、『俺が生きているうちに解決しないかもしれない』と言ったように、密売組織の本体、ミッドナイトの完全壊滅には、まだまだ長い時間が必要だ。


純平さんは、いずれは警察庁に戻る身分だし、事件の担当は他の人の手に引き継がれるだろう。
でもきっと……日本の警察はやり遂げてくれる。


「純平さん……」


無意識に名前を呼んで、そっと左手を持ち上げた。
私たちは、先日入籍を済ませた。
その時、純平さんが左手の薬指に嵌めてくれたプラチナの結婚指輪は、まだ真新しくて光を浴びるとキラリと光る。


「……ふふっ」


こうして見ているだけで、守られている実感が湧いて、私は安心できる。
テレビ画面は、別のニュースに変わっていた。
リモコンを操作してテレビを消すと、タイミングよく、玄関のドアが開く音がした。


「あ」


純平さんが、帰ってきた!
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