エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
私は瀬名さんの指示通り、デパートを出て外の通りに移動した。
陽が落ち、薄暮が訪れる中、目の前を行き交う通行人に隠れるようにして、車道を背に立ち尽くす。
黒いダウンジャケットの男性は、デパートの正面入口にいる。
瀬名さんがどこから現れるかわからないから、私はソワソワと落ち着きなく、極力デパートが視界に入らないように、辺りに視線を走らせていた。
電話を切ってから、十分と少し経った時。
「待たせたな」
右方向から低い声が聞こえて、私は弾かれたようにそちらに顔を向けた。
「あ……」
涼やかで端整な顔立ちの無表情のイケメン、瀬名さんがすぐそこまで来ていた。
心の底からホッとすると同時に、鼻の奥の方がツンとするのを感じながら、私からも彼の方に駆け寄った。
「瀬名さんっ……」
長身の彼の前で、ピタッと足を止めると。
「どこにいる?」
瀬名さんは短く言って、サッと視線を動かした。
私はごくりと喉を鳴らしてから、
「デパートの、正面入口……。黒いダウンジャケットの、大きな男の人が」
肩を縮めて答えると、頭上から「ああ」と相槌が降ってきた。
「いるな」
瀬名さんは素っ気なく呟き、小さな息を吐く。
陽が落ち、薄暮が訪れる中、目の前を行き交う通行人に隠れるようにして、車道を背に立ち尽くす。
黒いダウンジャケットの男性は、デパートの正面入口にいる。
瀬名さんがどこから現れるかわからないから、私はソワソワと落ち着きなく、極力デパートが視界に入らないように、辺りに視線を走らせていた。
電話を切ってから、十分と少し経った時。
「待たせたな」
右方向から低い声が聞こえて、私は弾かれたようにそちらに顔を向けた。
「あ……」
涼やかで端整な顔立ちの無表情のイケメン、瀬名さんがすぐそこまで来ていた。
心の底からホッとすると同時に、鼻の奥の方がツンとするのを感じながら、私からも彼の方に駆け寄った。
「瀬名さんっ……」
長身の彼の前で、ピタッと足を止めると。
「どこにいる?」
瀬名さんは短く言って、サッと視線を動かした。
私はごくりと喉を鳴らしてから、
「デパートの、正面入口……。黒いダウンジャケットの、大きな男の人が」
肩を縮めて答えると、頭上から「ああ」と相槌が降ってきた。
「いるな」
瀬名さんは素っ気なく呟き、小さな息を吐く。