エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
あるものだけでなにが作れるか真剣に考え、午後になって、夕食の支度にとりかかった。
作り終えた後、やり遂げた達成感より、ドッと肩に降ってきた疲れから、リビングのソファでうつらうつらとしていると、


「おい。起きろ」


声かけと同時に軽く揺さぶられて、ハッと目を覚ました。
とっさに、辺りをキョロキョロ見回す。


リビングには、電気が点いていた。
壁一面の大きな窓の外は、陽が落ちて薄闇に覆われている。
目の前には純平さんが立っていて、頭上から彼の影が落ちてくる。


「あ、お帰りなさい」


私は、弾かれたように飛び起きた。
彼はたった今帰ってきた様子で、脱いだ上着を私の隣に放った。
ネクタイを緩めながら、


「なんだ、あれは」


『ただいま』も言わずに、ダイニングテーブルを顎先で示す。


「あ」


私は反射的に、壁時計で時間を確認した。
午後六時半。
彼の帰宅は、思いのほか早かった。
この時間からなら、ふたりでゆっくり食事できる。


「夕食作って、待ってました」


乱れた髪をササッと手櫛で直してから、彼の隣を摺り抜けてキッチンに向かった。
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