エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
意地悪に微笑んで言われ、条件反射で頬がカッと火照った。
意図せず、記憶を導かれてしまい、お腹の奥の方がきゅんと疼く。
思わず目を泳がせたせいで、私の反応を見透かしたのか、純平さんは「ふっ」と吐息混じりにほくそ笑んだ。


「ほら見ろ、期待してる。さっさと手退け……」

「ご褒美なら、服を……家に取りに行かせてほしいです!」


私は、無我夢中で声を放った。


「……は?」


たっぷり一拍分の間の後、惚けたような口調で聞き返された。
意表を衝けたのか、肩に回された腕の力が緩む。


「『は?』じゃないです。月曜日、出勤する時の服も、し……下着も。替えがなくて困るんですっ」


純平さんは、勢いよく捲し立てる私を、きょとんとした目で見つめていたけれど。


「……くっ」


短い笑い声を漏らした。


「ごもっともだな」


なんとも愉快そうに、肩を揺すりながら……。


「参考までに。お前、今、パンツ穿いてるのか?」


あろうことか、私のスウェットの裾をちょいと捲ろうとする。


「わああっ!」


私は焦って、彼の手を押さえて阻止した。
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