エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
東京本社勤務、初めての月曜日。
私は、午前八時に出勤した。


「お……おはようございまーす……」


うちの会社の始業時間は九時なので、一時間も早い。
残業削減の人事対策で、〝始業前残業〟も禁止されているから、この時間、オフィスには次課長クラスの役職者と、事前申請して許可を得ている男性主任の姿しかない。


「あれ。随分早いね、菅野さん」


同じ島の向かい側のデスクで仕事をしていた主任が、私に気付いて驚いたように目を丸くした。


「〝新人〟だからって、早く来る必要ないよ」


先週着任したばかりの新米だから、気合を入れて早く出社したと思われたようだ。


「あーええと……」


私はぎこちなく笑って、返事を濁した。
自分でも予想外に、早く着いてしまった理由――。
今日から早速、純平さんがご実家の運転手を手配してくれたせいだ。
『何時にここを出れば間に合う?』と問われて、東京の平日朝の道路事情がわからず、余裕を持って時間を伝えた結果、早すぎてしまったという裏事情。


「パソコン、ログインしたらダメだよ。始業時間との乖離で、人事部チェック入るから」


主任が、私にそう注意をする。
< 68 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop