エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「今日からの新生活が、あなたにとってよきものとなりますように」
「え。でも」
どなたかへの、プレゼントではないんだろうか。
受け取るのを躊躇した私に、女性はニッコリ笑った。
「学生さんと間違えてしまったお詫びも兼ねて」
「そんな、お詫びだなんて。……でも、ありがとうございます」
わりと強引で少し気圧されたものの、あまり固辞するのも失礼かと思い、私は紙バッグを受け取った。
重みはない。そっと覗き込むと、綺麗にラッピングされた小さな箱が入っている。
お菓子かなにかだろうと推測していると、
「それじゃあ」
「あ……」
女性は、私が顔を上げるまでのほんのわずかな間に歩き出し、ホームに向かう新幹線の乗客の波に紛れ、見えなくなってしまった。
その場にポツンと残されて、私は紙バッグを目の高さに掲げた。
東京での新生活。
期待と同じだけ不安もあったけれど、最初に親切な人と出会えて、幸先がいい。心が温かくなって、なにかパワーをもらえた気分だ。
「よし」
私は自分を鼓舞するように呟き、新たな一歩を踏み出した。
eチケットを表示したスマホを自動改札にタッチし、颯爽と通り抜けた……その時。
「すみません。ちょっとよろしいですか」
突然現れたスーツ姿の背の高い男性に、行く手を阻まれた。
「え。でも」
どなたかへの、プレゼントではないんだろうか。
受け取るのを躊躇した私に、女性はニッコリ笑った。
「学生さんと間違えてしまったお詫びも兼ねて」
「そんな、お詫びだなんて。……でも、ありがとうございます」
わりと強引で少し気圧されたものの、あまり固辞するのも失礼かと思い、私は紙バッグを受け取った。
重みはない。そっと覗き込むと、綺麗にラッピングされた小さな箱が入っている。
お菓子かなにかだろうと推測していると、
「それじゃあ」
「あ……」
女性は、私が顔を上げるまでのほんのわずかな間に歩き出し、ホームに向かう新幹線の乗客の波に紛れ、見えなくなってしまった。
その場にポツンと残されて、私は紙バッグを目の高さに掲げた。
東京での新生活。
期待と同じだけ不安もあったけれど、最初に親切な人と出会えて、幸先がいい。心が温かくなって、なにかパワーをもらえた気分だ。
「よし」
私は自分を鼓舞するように呟き、新たな一歩を踏み出した。
eチケットを表示したスマホを自動改札にタッチし、颯爽と通り抜けた……その時。
「すみません。ちょっとよろしいですか」
突然現れたスーツ姿の背の高い男性に、行く手を阻まれた。