エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「東京駅で、大島に接触した女」
「え?」
「菅野、歩」
俺は最小限の返答をして、口を噤んだ。
朝峰が思考を巡らせるように眉根を寄せ、「ああ」と言ってポンと手を打つ。
「新海さんが、マトリの田込さんとしょっ引いたとか。……その彼女が、瀬名さんにどんな情報を?」
横から、探るような視線を向けてくる。
「と言うか、瀬名さんの命令で、簡易検査で陰性だけ確認して釈放して、調書取ってなかったですよね。なのにどうして、瀬名さんに直接?」
興味津々といった顔つきで畳みかけられ、俺は無言で顎を撫でた。
朝峰は犯罪者プロファイリングに精通していて、俺自身、その観察眼を認めている。
ここで下手に誤魔化しても、そのうち見破られる。
「あの男からストーカー被害に遭って、今俺が保護している」
溜め息混じりに答えると、朝峰はポカンとした顔で、「は?」と聞き返してきた。
「瀬名さんが? 直々に?」
「最凶に運の悪い、一般人だ。だが、これ以上巻き込まれるようじゃ、俺の始末書どころの騒ぎじゃない」
素っ気なく言い捨て、ふいと顔を背ける俺の隣で、
「……は~ん」
ニヤリと気味の悪い笑みを浮かべる。
「え?」
「菅野、歩」
俺は最小限の返答をして、口を噤んだ。
朝峰が思考を巡らせるように眉根を寄せ、「ああ」と言ってポンと手を打つ。
「新海さんが、マトリの田込さんとしょっ引いたとか。……その彼女が、瀬名さんにどんな情報を?」
横から、探るような視線を向けてくる。
「と言うか、瀬名さんの命令で、簡易検査で陰性だけ確認して釈放して、調書取ってなかったですよね。なのにどうして、瀬名さんに直接?」
興味津々といった顔つきで畳みかけられ、俺は無言で顎を撫でた。
朝峰は犯罪者プロファイリングに精通していて、俺自身、その観察眼を認めている。
ここで下手に誤魔化しても、そのうち見破られる。
「あの男からストーカー被害に遭って、今俺が保護している」
溜め息混じりに答えると、朝峰はポカンとした顔で、「は?」と聞き返してきた。
「瀬名さんが? 直々に?」
「最凶に運の悪い、一般人だ。だが、これ以上巻き込まれるようじゃ、俺の始末書どころの騒ぎじゃない」
素っ気なく言い捨て、ふいと顔を背ける俺の隣で、
「……は~ん」
ニヤリと気味の悪い笑みを浮かべる。