※あの乙女はニセモノです

そう思って亜子に近づこうと1歩足を進めた瞬間。



「なにその顔。市藤さん…あなた、思ってた以上に気持ち悪い」



視界に瞳の隣に居た女の子の酷く歪んだ顔と振り上げられた右手が映り込む。



私は急いで亜子の方に右手を伸ばして走った。



だめ…間に合わない。



「…亜子!!!」



私の声と同時に乾いた音がその場に響く。



それと同時に周りにいた女子の悲鳴やら男子の慌てる声が飛び交う。



目の前にはやってしまったと言わんばかりの顔をした女の子と瞳の顔。



今にも泣きそうな顔でうろたえる亜子の姿。



え、じゃあ一体誰が…。
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