※あの乙女はニセモノです
皆の視線を恐る恐る追ってみると左手で頬を抑える変態女装男の姿が。
いつの間に。
さっきまで私の隣にいたはずなのに。
私よりも早く亜子の前に飛び出して庇ってくれた…って事だよね。
良かった…亜子に何も無くて。
そっと胸を撫で下ろすと同時になんだか胸の奥がざわつく感覚もあった。
「先輩方、やりたいことは済みましたか?」
「えっ、いや、その。」
叩いた方の女の子は男のジロリと睨みつける姿に恐縮してしまったのか言葉を詰まらせる。
男もいつもの猫をかぶりきったあのぶりっ子で可愛らしい雰囲気なんてどこにも無い。
この感じは、私がナンパされた時に追い払ってくれた時みたいな感じに近い。
「いいですか?二度と亜子先輩にも…もちろんみゅうちゃん先輩にも、金輪際近づくんじゃねーぞ」