※あの乙女はニセモノです
喋り方はいつものぶりっ子な口調に戻ってる。
でもいつもより少し低くて真面目に聞いてくれようとしているのが何となく伝わる。
「あんた、自分が怪我するかもとか思わなかったの?あんないかにもな所に飛び出していって…絶対、痛かったでしょ」
私はさっきの事を思い出して柄にもなく泣きそうになったのを必死に我慢した。
一瞬見えただけだけど、あの綺麗な顔が左の頬だけ真っ赤になっていた。
もちろん私だったらそれくらい亜子の為と思えば痛くない、思う。
でも叩かれるって分かってて躊躇いなく目の前に行って助けられたかはわからない。
それに叩かれそうになったのは亜子なのに私の事もちゃんと助けてくれた。