※あの乙女はニセモノです

もちろんそれが作られたものなのかはわからないけど。



それでも少しでもいつもの亜子が見られたら、今日はそれだけでいい。



ちゃんとゆっくりでも元通りになれば…。



「あっ、あった!あそこのお店!この前学校帰りに見かけてめちゃくちゃオシャレだったから気になってたんだよね!!」



ちょっと人通りの少なそうな道沿いにある小さなカフェ。



今の時期にピッタリな涼し気な外装。



パッと見ただけでもわかる、丁寧な装飾。



一見カラフルで人目を引きそうな看板。



何だか、知る人ぞ知る!みたいな雰囲気がある。



「へぇー、確かにめちゃくちゃオシャレ…」



「…伊坂?」



「え…?」



最後まで言い終わる前に突然名前を呼ばれた気がして振り向く。
< 84 / 100 >

この作品をシェア

pagetop