身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
「若者向けにはそれなりに安価にしなければなりませんから、着物はオーダーメイドであるという概念自体を変えていかなければなりません。それでいて採算が取れるレベルの集客を生み出すとなると大規模な宣伝をしなくては。広告塔が必要かも。有名モデルさんに着ていただくとか」

「思ったよりしっかり考えてるじゃないか」

仁が椿の頭を撫で撫でする。いつになく優しい表情をしていて、椿も嬉しくなった。

「椿が広告塔になればいい」

「私がですか?」

「わざわざモデルを起用する必要はない。椿が自分で言ってたじゃないか、SNSを使うって。君が着物のコンテンツを配信し続けて、それが若者の目に止まれば必ず話題になる」

もちろん、ただ着物の情報を配信するだけではなく創意工夫が必要だろう。

だが不可能ではない。もちろん、父が簡単に了承してくれるとも思えないが、いつかは――。

「それに、今後、君には肩書きがつく。財界の帝王、京蕗仁の妻っていうね。それを使えば、話題作りも簡単だ」

「仁さんを利用するなんて――」

言いかけた椿だったが、とある妙案を思いつきふと顔を上げた。

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