身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
「仁さんがモデルになってくれれば!」

「俺?」

さすがにそれは考慮に入れてなかったらしく、仁は驚いた顔をした。

「だって、仁さんほどお着物の似合う男の人なんていませんから!」

モデルだって顔負けのスタイル、顔立ち、そして気品と肩書き。こんなにもクオリティの高い広告塔は他にいないだろう。

「店を変えていく覚悟が本当にあるのなら、微力ながら協力させてもらうよ」

「父に納得してもらえるだけのプランを考えてみます」

もちろん、あの頑固な父を説得するのは並大抵のことではないだろうけれど、やるだけの価値はあると椿は思った。

もっともっと勉強しなければならない。着物のことも、経営のことも。

「なんだかやる気が湧いてきました!」

仁に向かって微笑みかけると「俺もだ」と椿の額にキスを落とし、仕事に戻っていった。


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