身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
翌日の昼に行われた記者会見が、午後のニュース番組で取り上げられた。

財界の若き帝王・京蕗仁が、砂羽秋乃との熱愛報道を完全否定し、一般女性との婚約を発表。

週刊誌に掲載された二枚の写真について、砂羽秋乃を車に乗せる写真は本人であることを認めたが、もう一枚の車中でキスをする写真は別人であると主張。

写真に写る二台の車を細部まで比較し、別の車であることをエビデンスとして公表した。

京蕗仁の弁護士は、出版社側に謝罪を要求。

とはいえ、本当は仁の伯父がやらせたことだというのだからこれは表向きの発表に過ぎず、裏では仁の会社側から出版社へ和解金が支払われているのだろう。

仁の自宅マンション前で撮られた椿の姿も、モザイク付きで放送された。

企業からの圧力がかかったのか、仁が抗議するくだりと椿がお姫様抱っこされるシーンはカットだ。

情報はまだ錯綜しているようで、メディアはお相手の女性が老舗呉服屋の長女だと報道し、椿は少しだけ複雑な気分になる。

クリーニングから戻ってきたワンピースを着て待機していると、夕方になる頃、ようやく仁が迎えに来た。

< 152 / 258 >

この作品をシェア

pagetop