身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
「あのね、仁さん。私、妊娠したみたいなの……」

仁が目を大きく見開く。椿を抱いたまま体を起こし、丁寧に丁寧に椿をソファに座らせた。

「まさか……驚いた。そんなにすんなり子どもができるとは、正直思っていなかったから」

唖然としている仁を見て、椿は再び不安を膨らませる。

「……迷惑だった?」

「そんなわけないだろ! 嬉しいに決まってる」

まだ戸惑っているのか、仁の顔は呆然としたままだ。だが、その喜びを行動で示すかのように、椿の体を優しく抱いてくれる。

「嬉しい。嬉しいよ。椿、ありがとう」

言葉とともに仁の腕が椿の着物に深く食い込む。だが、その繊細な力加減は、椿の体に負担をかけまいと制御してくれているに違いなかった。

「よかった……」

ようやく安心して、椿は心の底から仁に身を預けることができた。

力が抜けてふにゃりとした椿を、仁は抱き支えたっぷりと愛でる。ときおり体を離して顎を持ち上げると、その唇に熱い口づけを何度も落とした。


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