身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
仁は額に手を当てて項垂れる。椿への投資なら、一千万でも二千万でも高くないと思っている。

だが小切手にして渡す行為はあきらかに間違っていた。

突き放すような真似だと思われても仕方がない。

「とにかく、必ず見つける。君は母親と一緒にここで待っていてくれ。もしかしたら椿から連絡が来るかもしれない」

「わかったわよ……」

菖蒲は渋々頷くと、家の中に入っていった。仁はそのまま椿を探すべく車に乗り込む。

「どこに行ったんだ、椿……!」

自身への悔恨とともにそう吐き捨てると、仁はすぐさまシートベルトを締めアクセルを踏み込んだ。

闇雲に車を走らせたところで椿を見つけられる可能性は低い。だが手はある。

絶対に見つけ出す、そんな決意とともに仁はハンドルを握った。


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