身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
「社長にはそういった事情に詳しい経営コンサルタントを紹介したいと常々考えておりました。ですが――」
仁は視線を菖蒲と椿に代わる代わる向け、穏やかに言う。
「娘さんたちの方がよく考えてくれているようだ。どうかこの先を担うふたりの言葉に耳を貸してあげてくれませんか。それが今後も私どもが支援を続けていく条件です」
父はすぐにはいとは言わなかったが、真摯に受け止めたようで、口を噤んで頭を垂れた。
仁は短く息を吐くと、その手を隣に座っている椿の肩に回す。
「個人的なことを言えば、みなせ屋は椿さんが生き生きと働けるような場所であってほしいと願っています。社長から見ればまだまだ未熟かもしれませんが、彼女なりに頭を悩ませ試行錯誤している。それは菖蒲さんも同じでしょう」
仁の視線を受けて菖蒲は一瞬ぷいっと目を逸らす。
だが、仁が自分たち姉妹を庇おうとしてくれていることに気づかないほど愚鈍ではない。苦々しい表情で向き直った。
仁は視線を菖蒲と椿に代わる代わる向け、穏やかに言う。
「娘さんたちの方がよく考えてくれているようだ。どうかこの先を担うふたりの言葉に耳を貸してあげてくれませんか。それが今後も私どもが支援を続けていく条件です」
父はすぐにはいとは言わなかったが、真摯に受け止めたようで、口を噤んで頭を垂れた。
仁は短く息を吐くと、その手を隣に座っている椿の肩に回す。
「個人的なことを言えば、みなせ屋は椿さんが生き生きと働けるような場所であってほしいと願っています。社長から見ればまだまだ未熟かもしれませんが、彼女なりに頭を悩ませ試行錯誤している。それは菖蒲さんも同じでしょう」
仁の視線を受けて菖蒲は一瞬ぷいっと目を逸らす。
だが、仁が自分たち姉妹を庇おうとしてくれていることに気づかないほど愚鈍ではない。苦々しい表情で向き直った。