身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
第九章 未来に向けて種を蒔く
妊娠六カ月、お腹がはっきりと膨らんできた。赤ちゃんは元気いっぱいのようで、お腹の中でぽこぽこと動くのを感じる。
まるで早く出してと暴れているようだが、産まれるにはまだ早すぎるので、もう少し眠っていてねと手を当てる。
帯を胸の下から斜めに巻き、お腹を潰さないよう気をつけて着付けした。今日は仁と一緒に外出する予定がある。
仁は車で実家まで迎えに来てくれた。
「寒くはないか?」
気遣いながら助手席のドアを開けてくれる。十月の終わりにしては肌寒い日だ。
「大丈夫です。着物って暖かいから」
今日は淡黄の色無地に秋らしい楓が描かれた帯を締めている。
上品ながらもかわいらしいアップスタイルと、肌に合う優しいブラウン系のメイクは、菖蒲に仕上げてもらった。
メイクもヘアも自分でできはするのだが、姉がやると仕上がりがワンランクアップする。
これから京蕗家へ挨拶に向かうので、いつも以上におめかしをしている。
入籍だけは妊娠発覚直後に済ませたのだが、その後、椿のつわりが酷くなり、ご両親にきちんと挨拶できなかったのだ。だから今日が初めての顔合わせとなる。
「今日はいつも以上に愛らしい」