身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
あの日のように流れに身を任せるのではなく、自分の意思で抱かれなさいと言っているのだろう。

君から求め、さらけ出してほしい。

意を汲んだ椿は、仁へ許可を与える。

「……私を愛してください。仁さんが欲しい」

言われた通りの言葉を繰り返し、仁の両頬に手を添える。

自ら唇へキスすることは躊躇われ、顎の下へと口づけを落とした。

どくどくと脈打ち熱を放つ首筋。唇を這わすと、喉仏が大きく上下した。

自分では持ちえない雄の力強さを感じ取り、椿の鼓動も速まっていく。

「ベッドへ連れていってください」

「……わかった」

仁は椿の膝の裏に手を差し入れ、背中にもう一方の手を回す。体を抱き上げ、リビングの奥にある寝室へと運んでいった。

双方同意の上の、甘い夜が始まる。

今夜も仁は優しく、丁寧に、椿の心も体も絆してくれた。


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