過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
そしてこの事件の後一番厄介だったのが、
"羽衣坊!"
羽衣を見掛ける度にそんな変なあだ名で呼び構ってくる竜の存在……。
なんなんだ、コイツは……。
"……てめえ、ちびすけに気安く話しかけてんじゃねえぞコラ"
羽衣を背中に隠しながらガンくれてやると、
"いーだろ別に。お前のもんって訳でもねえんだしよ。オレらダチになったんだよなー、羽衣坊!"
"うんっ"
オレの背中からひょっこり顔を出して頷く羽衣。
"…………認めん"
その顔をまた背中に押し戻して低く呟く。
"は?お前の許可なんて別にいらねーし"
"……オレ以外のヤツがちびすけにちょっかい出すのは気に食わねえんだよ……"
"ははっ、ライバル登場だね、大我?"
竜には聞こえないくらいの声でぼそりと溢したセリフは隣にいた遥には拾われてしまったようで、けらけら笑い出す。
"……ああ?"
"あれ、無自覚?"
"何がだよ"
顎に手を当てて考え込む素振りをする遥を睨む。
"……ああ、いや、そっか……。ねえ羽衣ちゃん、ちょっとこっちにおいで?"
"なあに?"
トコトコ遥の方へ寄って行く羽衣。
そんな羽衣の目線まで屈んだ遥が、あろうことか羽衣をぎゅっと抱き締めやがった。