過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
羽衣の中でオレはちゃんと男としてカテゴリーされていた。

それが分かったからにはもう我慢も遠慮もしねえ。

羽衣の"はじめて"はオレが全部貰う。

だから早くオレに落ちて来い。

そう思って羽衣にいろいろ仕掛けたが、その度に顔を真っ赤にしてあたふたする様子が可愛くて堪らない。

よくもまあこんなんで今まで無事だったもんだ。


一度触れてしまえばもう触れずにはいられなくて。

でも触れてしまえば簡単に理性なんて振り切れそうになっちまうから、結局多少は抑えざるを得なかったのだが。


そんな羽衣の様子がおかしくなったのは、一緒に新宿御苑に行った翌日からだった。

普通に振舞っているつもりだろうが、明らかにオレに触れられるのを避けている。

オレは本能の赴くままあいつに触れていたから、羽衣にとっては多分いつも不意打ちで。

だから新宿御苑にデートに行った時、キスする直前一瞬だけ躱せる隙を作った。

羽衣、逃げるなら今だ。オレを拒否するなら今しかない。

でも羽衣は躱さなかった。

だから羽衣の気持ちもオレに傾いて来ている、そう思っていたのだが、それは自惚れだったのだろうか。

ようやく触れられるようになったのに、これだけ躱されるとさすがに堪えるし、触れたくて堪らない。
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