過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
……そのセリフ、どこかで………。
"大我さんが昔オレに言ったんですよ?そんなんだったら、オレが花里貰っちゃいますから。なんせこの10年、あいつの1番近くにいた男はオレですからね"
"………っ!"
"おお、これはなかなか手強いライバル登場だねえ"
顔色を変えたオレと、半ば感心するようにそう言った遥を見てにっこり微笑んだとしは、"では失礼します"そう言って会議室を出て行った。
"……あのクソガキ、随分一丁前な口聞くようになったじゃねえか。しかも無駄に男前になりやがって"
思わず溢れる苦い笑み。
"あれ?大我、余裕?"
揶揄うような視線を向けてくる遥に、
"……バーカ。ねえよ、んなもん最初から"
後頭部をぐしゃりと掻きながら答える。
"ま、詳しいことは知らないけど、誤解は早く解いた方がいいんじゃない?手遅れになる前にさ"
急に真面目な顔でそう言った遥は、羽衣を会議室の片付けに呼び寄せ、後は2人でごゆっくりー、といつもの飄々とした顔で去って行った。
なのにオレは誤解を解くどころか、やって来た羽衣を強引に会議室に引き摺り込んだ挙句、気持ちを抑え切れずにがっついてしまった結果が今の状況だ。