過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
「……遥、今日のオレの残りのスケジュールは?」
「今日はもう溜まってる専務承認待ちの書類をやっつけてもらうだけです。明日に回せるものは回しておいたので、デスクに置いてある分が終わったら帰ってもらって構いませんよ」
そう言って悪戯っぽく微笑んだ遥。
さすがはオレの秘書、オレの考えてることなんてお見通しなんだろう、抜かりない。
「ああ、さんきゅ」
とにかく早く終わらせて羽衣の誤解を解かなければ。
それからのオレは専務室に籠りひたすら書類を捌いていたが、どれだけ集中していただろう、コンコン、とノックの音が聞こえ、時計を見上げれば18時半になろうかというところ。
軽く伸びをした後姿勢を正してどうぞ、と答えると遥が入って来た。
そしてドアが閉まると、
「……大我、もう手遅れ、かも……」
困ったように眉をハの字に下げて、遥はオレにそう告げるのだったーーーー。