過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜

そんなこんなで無事"ラピス"から正式に内定通知が届いてすぐ、ちょうど実家に帰ってきている時に大我から連絡があった。

「お前、住むとこもう決まってんの?」

「就職先が決まってから通いやすいところで探そうと思ってたから、まだですけど……」

「じゃあいいところがある」

「………え?ひょっとして紹介してくれるんですか?」

住むところは今度お母さんと上京して一緒に探す予定だったけど、何せ私もお母さんも東京になんて住んだことがない。家賃の相場もわからないし、どこが治安が良くて住みやすい町かも知らない。

だから東京に慣れている大我が紹介してくれるなら、これほど心強いことはない。

「ああ、お前みたいな危なっかしいヤツ、1人で都会に放り出したら簡単に取って食われちまうからな」

「………待って。東京って、そんな怖いところなんですか………?」

「まあな。だから住むところ、オレが紹介してやる。ちなみに会社まで徒歩圏内で、家賃、光熱費もタダの物件だ」

「………えっ⁉︎家賃、光熱費タダってどういうことですか⁉︎社員寮か何かですか?」


いや、社員寮だって普通に借りて住むよりは安いとはいえ家賃がタダな訳ないし、光熱費も掛からないなんていくらなんでもおかしい。

っていうかそもそも"ラピス"には社員寮なんてなかったはず……。
< 13 / 180 >

この作品をシェア

pagetop