過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
そしてシートベルトを締めながら何となく会社前の歩道の人の流れを目で追っていると、視界に飛び込んで来てしまった1人の人物。
黒のハイネックニットワンピースにグリーンのチェック柄のチェスターコートを羽織り、足元はぺたんこのショートブーツ。
その耳元では、今日も大ぶりなパールのピアスが存在を主張していて。
その人物を認めた瞬間、私の周りから大げさじゃなく音が消えた。
ああ……。どうしてこんなにたくさんの人が行き交う中で見つけてしまったんだろう。
それはうちの会社の方へ向かって歩いて来る、桃ちゃんだった。
分かっているのについその行く先を目で追いかけてしまえば、会社から大我が出て来たところで。
キョロキョロする大我と一瞬目が合ったような気がしたけど、きっと気のせいだ。
そんな大我の元へ桃ちゃんが駆け寄って行く。
もう見ていたくなくて、私は急いで視線を前に戻し、坂崎さんに「出して下さい、今すぐっ」と短く叫んだ。
「え、羽衣坊?」
「お願いします!早く……!」
困惑気味の坂崎さんだったけど、私のただならぬ様子を察してすぐに車を発進させてくれた。
黒のハイネックニットワンピースにグリーンのチェック柄のチェスターコートを羽織り、足元はぺたんこのショートブーツ。
その耳元では、今日も大ぶりなパールのピアスが存在を主張していて。
その人物を認めた瞬間、私の周りから大げさじゃなく音が消えた。
ああ……。どうしてこんなにたくさんの人が行き交う中で見つけてしまったんだろう。
それはうちの会社の方へ向かって歩いて来る、桃ちゃんだった。
分かっているのについその行く先を目で追いかけてしまえば、会社から大我が出て来たところで。
キョロキョロする大我と一瞬目が合ったような気がしたけど、きっと気のせいだ。
そんな大我の元へ桃ちゃんが駆け寄って行く。
もう見ていたくなくて、私は急いで視線を前に戻し、坂崎さんに「出して下さい、今すぐっ」と短く叫んだ。
「え、羽衣坊?」
「お願いします!早く……!」
困惑気味の坂崎さんだったけど、私のただならぬ様子を察してすぐに車を発進させてくれた。