過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜

「うちに社員寮はない。家賃、光熱費タダの代わりにそうだな、食費はお前持ちで家事全般は任せる。この条件でどうだ?」

うん、社員寮はやっぱりなかったよね。

………って、うん?

"食費はお前持ち"? "家事全般は任せる"?

待って待って。それってなんか……。

それってなんかさあ!

絶賛混乱中の私に、



「お前、オレと一緒に住め。それと、気持ちわりいから敬語禁止」



大我はついに決定的な一言を、余計な一言と共に放り込んだのだった。




ーーーーそれからは、混乱する当の本人をよそに、あれよあれよと言う間にことが進んでいった。


嫁入り前の娘が男の人と一つ屋根の下で暮らすなんて、いくらなんでもうちのお母さんが許すはずないです!

そう主張する私に大我は、"そこにおふくろさんいる?"
と聞き、ちょうど大学の夏季休暇で今実家に帰って来てるからいますけど………、と答えると"じゃあ代わって"と言った。

ちなみにうちは母子家庭で、お父さんは私が5歳の時交通事故で亡くなっている。

お母さんには私の就職先が偶然にも実は昔可愛がってもらっていた大我のお父さんの会社で、彼もそこで専務をしているということは伝えていた。

するとお母さんも大我のことは覚えていて、とても懐かしがっていた、のだけど……。
< 14 / 180 >

この作品をシェア

pagetop