過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
彼の意図が分からないまま、2階の自分の部屋から出て居間にいたお母さんに大我からだと告げて電話を代わると、"まあっ、久しぶりねえっ大我くんっ!"というテンションの高い挨拶から始まり、

"この子、ぼーっとしてるから1人で東京に出すの心配だったんだけど、大我くんと一緒なら安心だわあ!"

"いつ嫁に出しても恥ずかしくないように家事全般は仕込んであるから、大我くん、コキ使ってやって!"

と、私の予想に反してどう考えても一緒に住むことに賛成してるとしか思えない発言をする母、依子(ヨリコ)46歳。

"ちょっとっ!"とお母さんに縋りつきながら、そういえばこの人、昔から大我のこと気に入ってたんだった、と思い出す。

普通小学生の娘が不良と評判の高校生に関わってると知ったら、親としては心配するとか止めるとかすると思うのに、うちの母は違った。

彼女自身も若かりし頃やんちゃをしていた時代があったから、というのもあるかもしれないが、1番は内気で引っ込み思案だった私を活発で明るい子に変えてくれたこと、一緒にいる時は暗くなったら必ず家まで送ってくれていたことから随分大我のことを信頼していた。


そんなお母さんが大我と一つ屋根の下で暮らすことを反対してくれるなんて、どうして期待しちゃったんだろう…………!



< 15 / 180 >

この作品をシェア

pagetop