過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
「……朝からきゅんとさせないで下さい……」

「それ、こっちのセリフなんだけど?」

くく、と大我が声を立てて笑う。

「今日、仕事終わったら地下駐車場まで来て。待ってる」

「……はい」


今日は、大我が私の誕生日をお祝いしてくれる予定だ。

でも今日の夜を空けてくれるために、大我が最近仕事を詰め込んでいたのを私は知っている。

だからお祝いは当日じゃなくていいから無理しないで下さい、そう言ったけれど、

"オレが当日に一緒に祝いたいんだ"

私の頭をぶっきらぼうにぐりぐりしながら、でもその仕草とは裏腹に優しく微笑む大我を見て、私は嬉しくて胸がきゅんと締め付けられて、何も言えなくなってしまった。


今日どこに行くのかは教えてもらってないけれど、"暖かい格好で来い"とだけ言われたからスカート部分がプリーツになっていて、ウェストでベルトマークが出来るキレイ目なハイネックのニットワンピースに、お気に入りのペールブルーのノーカラーコートとショートブーツを合わせることにした。

大我と並んで歩くことを意識して、ちょっとだけ大人っぽく。


いつも通り大我を先に見送った後、自分の支度を整えているとまだマナーモードにしていないスマホがピロン、と鳴った。
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