過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
ーーーーそうして大学卒業後の3月某日。
私は大我のマンションへと引っ越し、今のこの状況が出来上がったと言う訳だ。
約束通り、家賃、光熱費は大我持ち、食費だけが私持ちで家事全般は任されている。
渋々引っ越してきた私だったけれど、まさか大我の家がこんな東京の一等地に建つ、しかもコンシェルジュが常駐しているような超高級タワーマンションだとは知らされていなくて。
忙しなく車が行き交うレインボーブリッジや陽の光に煌めく東京湾を、最上階の日当たり良好な全面ガラス張りの窓から見下ろすという体験をした時、とんでもないところに来ちゃったと1人打ち震えたのは言うまでもない。
"こんな素敵なところにこんな条件で住まわせてもらうのは申し訳なさ過ぎる"
そう言えば彼は、
"お前が家事全般引き受けてくれたおかげでハウスキーパーを雇う必要がなくなったんだ、お互いWIN-WINの関係だ、気にするな"と笑った。